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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.07.01

めっきを輝かせるさまざまな後処理技術

めっき作業後には、「後処理」という、めっきの品質維持のための仕上げ工程があります。
めっき被膜は、そのままでは変色、シミなどの外観異常が起こる場合があります。
これを防止するために行う処理です。
後処理には、以下のようなものがあります。

【水切り処理】

めっきは元々、溶液浸漬や水洗を何度も繰り返した後、最終仕上げで乾燥工程があります。
この乾燥工程中に起こるのが水滴シミです。

一般的には、仕上げ水洗の前に水溶性シリコンや金属表面に撥水性皮膜を形成する薄い界面活性剤溶液に浸漬したのち仕上げ水洗を行い、圧搾空気や遠心脱水機で残留した水分を除去します。
この処理は、乾燥を促進し、形成した被膜は短期的な変色防止効果があり、アルカリ洗浄液で簡単に除去することができます。

電子部品や精密機械部品は、遠心脱水などでは変形の問題が発生してしまうため、溶剤水切り処理が行われます。
溶剤を使用することで、コストは高くなりますが、短時間で良好な仕上がりが可能になります。

代表的なものは、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコールが用いられますが、引火点が低く消防法の規制を受け、使い捨てとなるため、更にコストアップに繋がります。

【水溶性樹脂処理】

水溶性樹脂処理(コーティング)は、水溶性樹脂が溶解した溶液にめっき済み品を浸漬して乾燥することで、透明な有機防錆被膜を形成します。

【クロメート処理】

クロメート処理は、殆どすべての亜鉛めっきの後処理に行います。
通常、クロム酸またはその塩を含む処理液に浸漬することでクロメート被膜を形成させます。

クロメート処理の目的は、
・亜鉛めっきの白サビ(塩基性炭酸亜鉛)の発生を防ぐ
・見た目を綺麗にする
・汚れを付きにくくする
・耐食性と密着性向上のための塗装下地
・電導性、耐食性
・染色が可能になる
・耐食性のある着色膜が亜鉛めっき上に形成される
などがあります。

クロメート皮膜の厚さは、乾燥前は数μm、乾燥後では0.07~0.3μmほどで、金属より軟らかいため、キズが付きやすいのですが、キズが浅ければ亜鉛めっきが露出しても、空気中の水分でクロメート皮膜中の6価クロムが滲みだして再び亜鉛めっき表面でクロメート反応を起こすことで部品を守ります。

また、クロメート被膜は、添加剤によって厚みや光沢度、色調などを変化させることが可能になりますので、淡紫色、淡青色、黄色、橙色、赤色、赤緑色、濃赤色、濃緑色、O.D.(Olive Drab)色、茶褐色、虹彩色と沢山あります。

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