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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.07.01

化学研磨とは?めっき品質を支える重要工程

ピックリングのお話で出てきた「化学研磨」は、研磨方法のひとつで、めっきの前処理に必要な処理です。

何故、研磨が必要かというと、

【バリ取り】精密部品やプレス部品の加工時に発生したバリを取る。
めっき中に脱落したり、電気が集中したりするのを防ぐ。

【表面調整】素地表面を整えて鏡面化する。
加工時の軽いキズを無くして、外観を良くする。

【寸法調整】材の表面を少しずつ削ったり、溶かしたりして小さくする。

【異物除去】素材表面の異物を除去する。

【めっきの前処理】素材表面の異物、変質層の除去。平滑化、鏡面化

研磨には幾つか方法があります。
なので、目的と素材の形状などから方法を選択する必要があります。
では、研磨にはどんな方法があるのか紹介しましょう。

【機械研磨】

機械研磨には、研磨剤を使った研磨と、やすりや砥石を使った切削がありますが、厳密な使い分けはありません。
サンドペーパー、サンドブラスト、バフ、バレル研磨、ホーニングなど
素地の種類に左右されず、平滑化が可能ですが、薄い板や複雑な形状のものには向きません。
製造現場的には、有害なガスが発生しないことと、廃液処理が不要なことがメリットです。

【電解研磨】

電気分解を応用して、液中の金属を電気の力で酸化して溶解します。
コストが低くて品物の変形が少ない長所がある半面、素地金属の向き不向きがあります。
また、あまり複雑な形状のものも苦手です。
現場的には、作業には電気や熱源の設備が必要で、更に、有毒ガスが発生するので、排気装置が必要になります。
廃液処理も必要です。
技術的には、金属の光沢を維持しながら、溶解反応(アノード反応)と還元反応(カソード反応)の両方をバランスよく維持しなければならないので、処理液の選択や作業条件の管理が重要になります。

【化学研磨】

液中の金属を酸化剤と化学反応させて溶解研磨します。
電解研磨との違いは、外部電源に頼らずに溶液の中でカソード反応を利用していることです。
また、電解研磨と同様に、処理できる素材が限られます。
複雑な形状の部品に対応出来、一度の処理量が多くできますが、平滑化は出来ません。
現場的には、電解研磨と同じデメリットがあります。
また、ピックリングの際の厄介な「スマット」や、冷間圧延など機械加工をした素材の表面に出来た変質層の除去のためには、表面をエッチングするような化学研磨が有効です。

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