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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.10.15

めっきの法規制(国内)

排水処理のコラムでめっき事業場が水質汚濁防止法で規制対象となることを紹介しました。

ところがね、「めっき」業者って他にも沢山の規制があるんです。
なので、ISO14000やエコアクション21なんていう「環境マネジメントシステム」の認証を受けている企業の場合、関連法規制の特定や改正を把握するのにも一苦労なわけです。

そこで、今回は「めっき」を生業(なりわい)としていると、関係してくる法規制についてお話しします。

法規制とひとことに言っても、国際法なのか、国の法律なのか条例なのか、規制の対象が設備なのか、人なのか、製品なのかなど、様々な法規制が関わってきます。
水質汚濁防止法では対象が、特定事業場から排出される排出水でしたね。

それでは、めっき業者が関係する法律にはどのようなものがあるのでしょうか。

※法規制全てを網羅していません。
また、事業場の立地などの条件によって対象となる法規制が異なります

では、ここからは国内の法律がめっき業にどのように関わってくるのかを掘り下げてみます。
まず、「特定工場」であるか否かで規制の内容も厳しさも変わってきます。

「特定工場」とは、
製造業
電気供給業
ガス供給業
熱供給業    のいずれかに属し、

ばい煙発生施設
汚水等排出施設
騒音発生施設
振動発生施設
一般粉じん発生施設
ダイオキシン類発生施設     を設置する一定規模要件以上の工場です。

詳細は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」をご覧下さい。

当社は、製造業で、汚水等排出施設のうち、水質汚濁防止法施行令別表
第65号酸又はアルカリによる表面処理施設
第66電気めっき業に該当するので、当然特定工場となります。

加えて、群馬県条例では、ばい煙特定施設のうち
9項表面処理又は金属の加工の用に供する酸洗い施設、メッキ※3施設及び塩浴炉にも該当します。
なので、皆さんも関連法規制を調べる際には、都道府県条例も忘れずに。
※3 正しくは「めっき」なのですが、法律では「メッキ」と書かれています。

特定工場を設置している事業者(特定事業者)は、特定工場に公害防止の専門知識がある人々で構成される公害防止組織を設置する必要があります。
公害防止組織は従業員数や環境への負荷の規模によって異なります。
更に、「労働安全衛生法」でも、安全衛生管理体制の確立が求められています。

また、特定施設は該当するそれぞれの法規制で届出、管理や点検などの対応が定められています。
更に、「水質汚濁防止法」の特定施設に係る場合、「土壌汚染対策法」も関係してくるからで、
水濁法の特定施設を廃止した場合、その土地のその後の状況を毎年届け出なければなりません。

ご存じの通り、めっきには様々な化学物質が使用されます。
そのため、
●「水質汚濁防止法」に指定された有害物質や生活環境項目の対象物質
●「毒物及び劇物取締法」に指定された毒物や劇物
●「労働安全衛生法」に指定された特定化学物質
●「消防法」に指定された危険物や消火活動阻害物質
●「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)に指定された対象化学物質
●「群馬県条例」では、シアン化合物と塩酸

などを取り扱う場合にも、届出、管理、点検や測定など様々な対応が求められています。

そして、出来上がっためっき品は主に国際的な規制が関わってきます。
(国際的な規制については、また、別のコラムに掲載しますね。)

また、これ以外にも、原材料の梱包材や容器、老化処理液の廃棄には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)」が関わってきます。
廃掃法で重要なのが「マニフェスト伝票」の管理で、こちらも年に1回、マニフェスト伝票の発行状況の報告義務があります。
また、特別管理産業廃棄物に該当する廃棄物を年間50トン以上排出した場合、電子マニフェスト導入対象にもなります。

更に、
●「大気汚染防止法」の対象となるボイラー
●「騒音規制法・振動規制法」の対象となる空気圧縮機(コンプレッサー)
●「労働安全衛生法」の対象となる局所排気装置
●「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」の対象となる第 一種特定製品
 
 などが、社内にある場合にも、注意が必要ですので、関連法規制を確認して下さい。

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