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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.10.22

金について

金は、見た目が美しいだけでなく、化学的に非常に安定した金属で、しかも耐食性、耐酸化
性、導電性、低接触抵抗などの機能特性をもつ唯一の金属です。
そのため、電気電子部品の生産が活発になるにつれ、金めっきの需要も拡大していきました。

しかし、皆さんご存じの通り、金は希少金属であるため他の金属と比べてとってもお高いんです。
15年前の3倍以上、1gで一万円を優に超えてしまうのです。
なので、近年では薄膜化や部分めっきなど如何に使用量を抑えるかなんて努力もしています。
現在、実用化しているめっき浴はこのようなものがあります。

【アルカリ性浴】

この浴の特徴は、
①均一電着性が良い
②単純な浴組成で管理が簡単
③不純物に鈍感
④金含有率が低いめっきが可能

この浴は、金と他の金属を合金化することで、色調を変化させることができるのです。
ですから、低カラットの装飾用に使われています。

ところで、この「カラット」って知ってます?
宝石の場合、計量単位、200mgを1カラット(Carat)なのですが、金の場合は、標準単位カラット(Karat)で、純金24カラットをK24と表します。
また、イギリスの標準では、純度100として示す標準単位があって、例えば純金90%ならば純度900と表します。
良く聞く『18金』は、18/24だけ純金を含んでいるということなので、純度750となります。
また、JIS H 8616では、金品位の呼称と金含有率は以下のように規定されています。

【中性・酸性浴】

この浴は、厚付けが可能で有機酸と添加した微量金属の共析によって光沢や硬度が得られることが特徴です。
添加する金属は、コバルト、ニッケル、インジウム、アンチモンなどがあります。

最も活用されているのは、金-コバルト合金めっきで、沢山のタイプの浴が市販されています。
金-コバルト合金の場合、コバルトの添加量の増減
だけでなく、めっき時の電流密度によっても、金の析出純度を変えることができるので用途によってめっき条件の選択が必要になります。

工業的用途としては、コネクターなど接点部品に利用されています。

【純金浴】

もう一つ、浴の特徴として取り上げなければならないのが、この純金浴
です。
純金浴は、集積回路基板や半導体基板のめっきに使われています。
特に集積回路部品においては組み立て加工工程に不可欠で、半導体パッケージと集積回路の大部分が、この純金めっきを使用したワイヤーボンディングで接続されています。
このボンディング用純金めっきの場合、金の析出粒子の大きさや析出状態が重要な要素となります。
つまり、組み立て加工工程で加熱されるため、膨れ、剥がれ、変色など接続を阻害するような欠陥があってはなりません。

【無電解浴】

無電解金めっきには、置換型と触媒型のめっき浴があります。
一般的に置換金めっきは、下地金属をニッケルとした場合、
Ni + 2Au+ → Ni2+ + 2Au
イオン化傾向の差によって置換反応を起こさせます。

但し、このめっきは、被めっき物表面に金が析出してしまうと反応が止まってしまうため、膜厚は0.1μm以下しかつきません。
なので、チップ部品のはんだ付け性向上や下地ニッケルめっきと厚付け無電解金めっきの密着性向上を目的としています。
また、触媒型金めっきは、無電解銅めっきや無電解ニッケルめっきと同様に、厚付けが可能なので、電子産業分野では欠かせません。
一般的に、ジメチルアミンボラン(DMAB)が還元剤として使われています。

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