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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.10.29

銀めっきについて

銀めっきの歴史は古く、装飾品、食器、電子部品などに利用されてきました。
しかし、めっき浴中の銀は、シアン化物が基本とされるため、その毒性には注意が必要になります

銀めっき浴の光沢剤が開発されるまでは、ある程度めっきを厚付けしてから研磨することで光沢を出していました。
しかし、1902年に少量の二硫化炭素を添加すると銀めっきに光沢が出るということが分かってからは光沢剤の研究が活発になりました。
光沢剤の種類としては次のものがあります

①二硫化炭素とケトン類の縮合生成物
②キサントゲン塩
③ASK(アクロレイン-二酸化硫黄縮合生成物)化合物
④チオカルバジット縮合生成物
⑤チオ硫酸塩
⑥セレンとテルル化合物
⑦アンチモンとビスマス化合物

【銀ストライク】銀は、ほとんどの金属より貴であるので、めっき浴に浸漬した途端に素材表面に銀の置換被膜が生成してしまいます。
このまま銀めっきをしても密着性は得られません。
なので、銀濃度が低いストライクめっきを通電しながら行います。

【装飾用銀めっき】装飾用の銀めっきは、完全鏡面光沢が要求されることが多いです。
そのため、素材表面は研磨などによりキズや凹みなどの欠陥が無い状態が好ましいとされています。

【工業用銀めっき】工業用の銀めっきは、密着性、めっき厚の均一性、導電率や硬さなどの要求がとても厳しいです。
後工程で加熱されることもあるため、密着性の担保は重要になります。
また、めっき膜厚の均一性は、めっき条件により電流密度を平均化することで可能となります。
導電率や硬さについては、光沢剤などの添加剤の影響が大きいと言えます。

【高速銀めっき】高速度めっきとは、実用電気めっき速度の十数
倍から百倍以上の速度でめっきする方法を言います。

高い電流密度でのめっきを可能とするために、めっき液を高速度で流動させるジェット流法や噴流法などで、素材表面に高速でめっき液をぶつてめっきします。
半導体のリードフレームや、プリント配線板の端子に部分めっきを行うことが多いです。

また、銀めっきになくてはならないのが後処理です。
銀めっき被膜は、とても変色しやすいので、めっき後速やかに変色防止処理を行います。
その方法は以下になります。

①メラミンの透明樹脂塗装をする。
②金、ロジウム、ベリリウムめっきを行う。
③クロメート処理を行う。

銀めっき品の用途によって、これらの処理を選ぶ必要があります。

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