コラム
Column
めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。
2026.01.15
AAについて
めっき業者にとって、めっき液の管理はとても重要です。
金属を被めっき物の表面に析出させる訳ですから、析出させる金属や析出を助けてくれる成分の濃度を管理して安定した生産を行うためです。
今回は、成分分析のうち、機械を使った分析を紹介します。
【原子吸光分光光度】
原子吸光分光高度計または原子吸光高度計という装置です。
(Atomic Absorption Spectrophotometers:AA)
分析の方法としては、原子吸光分析法といい、特定の元素の吸収スペクトルを使用してその元素の存在と濃度を測定する方法です。
主に、液体試料中の無機元素の測定が可能です。
この分析の特徴は、装置がコンパクトで、操作が簡単であり、また、価格やランニングコストが安いことです。
また、JIS K 0102(工場排水試験法)をはじめとした、工程分析法で多くの試験法に指定されています。
更に、標準液を使用する相対分析法なので、再現性がとても良いのも特徴です。

原子吸光分光高度計は、光源、原子化部、分光器、検知器で構成されており、軽く詳細を説明しますね。

光源は、ホロカソードランプという特定のスペクトルの輝線を発する光源ランプです。
但し、特定なので、元素毎にランプが必要になります。
中にはひとつで複数元素の輝線を発することが可能な複合ランプもあります。
原子化部は、フレーム(炎)を使用するフレーム原子吸光分光光度計と、黒鉛炉(ファーネス)を使用する電気加熱原子吸光分光光度計(グラファイトファーネス原子吸光分光光度計)があります。
分光器、検知器は、分光測光部と呼ばれ、測光方式には、シングルビーム方式とダブルビーム方式があります。
分光器では、光源から放出された複数のスペクトルのうち近接線を分離して必要なスペクトルを選択します。
検出器には、フォトマルチプライヤーが使用され、紫外~可視光域(190nm~800nm)のスペクトルを感度良く検出します。
実際には、測定した標準液の濃度と吸光度(きゅうこうど、absorbance)を使って、検量線を作成し、未知試料の吸光度から測定した元素の濃度を算出します。

原子化部のうち、
フレーム原子吸光分光度計は、液体試料中に含まれるmg/L(ppm)オーダーの元素を簡単な操作で分析できる装置です。
原子化には、燃焼ガスとしてアセチレンまたは亜酸化窒素(笑気ガス)、酸化ガスとして空気の混合ガスをフレームで燃焼させます。
その温度は、約2,300℃(アセチレン)、2,800℃(亜酸化窒素)にもなります。
噴霧器(ネプライザー)によって吸い込ませた試料を霧状にしてその混合ガスと共にフレームで燃焼させることで、試料中の成分は原子化され光を吸収します。
この分析法では、低波長域(~350nm)でバックグラウンド補正を行う必要があります。
「バックグラウンド」とは、通常、光の吸収測定では、目的とする金属元素の吸収以外の原因によって分析線が減光することがあり、この減光をバックグラウンドといいます。
例えば、海水中の塩化ナトリウム(NaCl)の場合、Naが吸収するスペクトルとカドミウム(Cd)やニッケル(Ni)が吸収するスペクトルが重なっています。
なので、多量に含まれるNaClを補正して、微量に含まれるCdやNiを測定するのです。

電気加熱原子吸光分光光度計は、液体試料中に含まれるμg/L(ppb)オーダーの元素を感度良く分析できる装置です。
小指(約Φ5mm、長さ20mm)ほどの黒鉛炉に試料をμLほど注入して、大電流を流すことで高温加熱して試料を原子化します。
原子化部には、黒鉛炉の酸化防止や水分、マトリックス(共存物質:マトリックス)蒸気の排出のために、アルゴンガスが使われます。
この道程は、まず、試料中の溶媒をゆっくり蒸発させたのち、灰化することでマトリックスの除去を行い、一気に昇温して元素を原子化され光を吸収します。
この分析法は、フレーム法の100~1000倍の感度がありますが、共存マトリックスによる光の散乱が原因のバックグラウンド吸収が大きくなるため、全てのスペクトル域でもバックグラウンド補正が必要になります。
その他、フレーム原子吸光分析法では、重水素ランプから発する連続光によって補正する方法が一般的です。
その補正範囲は、190~420nmで、長波長になるにしたがって光量は減少してホロカソードランプとの光量調整が必要になります。
また、電気加熱原子吸光分析法では、ゼーマン補正を利用します。
ゼーマン補正は、190~800nmの波長範囲で補正が可能で、重水素ランプではで出来なかった、Na、K、Liの補正も出来ます。
バックグラウンド補正は、正確な定量を行うためにとても重要です。
また、バックグラウンドの原因となるマトリックスを除去しておくことも正しい分析値を得るためのポイントとなります。
更に、先ほど電気加熱原子吸光分析法の中で、「マトリックス除去」について少し触れましたが、マトリックスを除去するためには、昇温条件やマトリックスモディファイヤの選択、グラファイトチューブの選択などが必要となります。

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