コラム
Column
めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。
2025.08.20
めっきの排水処理
めっきに付き物なのが、「排水処理」。
めっきには、様々な化学物質が使われていますが、製造工程で繰り返し行われる水洗水には当然、脱脂液などの前処理液やめっき液、後処理液の成分が含まれます。

排出水に関連する「水質汚濁防止法」は、めっき業者にはとても関係が深く、工場や事業場から公共用水域に排出される水の排出や地下に浸透する水を規制すると共に、生活排水対策の実施を推進し、公共用水域及び地下水の水質汚濁を防止する法律です。
水質汚濁防止法では、有害物質項目と生活環境項目(排出水50m3/日未満の事業場は非適用)に規制の対象となる物質と許容限度が規定されており、特定施設を有する特定事業場は、排出水を排水基準に適合するように処理しなければなりません。


では、有害物質が含まれる廃水を、どのように排水基準に適合するように処理するのでしょうか。
濃度によってさまざまな方法がありますが、イオン交換樹脂、濃縮回収、電気透析、逆浸透など
で、規制物質を分離する方法があります。
また、電解処理をすることで有価物として金属を回収することもあります。

それでは、当社で発生する廃水のうち、発生量が多い「酸アルカリ系廃水」「シアン系廃水」の処理について紹介します。
【シアン系処理】シアンを含むめっき液は、銅めっき、金めっき、銀めっき等があります。
その他、前処理液、後処理液、剥離液などにも含まれていることがあります。
当社では、これらのシアンを含む処理の後の水洗水の処理を「アルカリ塩素法」という方法で行っています。
これは、強力な酸化剤(次亜塩素酸ナトリウム等)をアルカリ性で反応させてシアンを分解する方法です。
この反応は、通常2段階に分けて分解させる方法で、その反応は


①、②は、一次分解と言われていて、シアンイオンを酸化してシアン酸イオン(CNO-)にします。
この時、pHを10~11にすると、塩化シアンを発生させずにシアン酸への酸化がスピーディに行うことができます。

また、③は、シアン酸を更に酸化して、二酸化炭素と窒素に分解する、二次分解と言われています。
この時のpHは、7.0~7.5が良いとされています。
但し、シアンは単独で存在することは殆どなく、重金属の錯塩と混在しています。
錯塩はとても安定しているので、この錯塩が含まれる場合は、処理が非常に厄介になります。
【酸アルカリ系処理】酸アルカリ系廃水に流れ込むものには、重金属が含まれています。
酸アルカリ系処理の目的は、廃液に含まれる重金属の除去です。
重金属の殆どは金属イオンとして錯塩やキレート化合物を形成しています。
これを、pH調整や特別な沈殿剤を使用して沈殿形とさせ、有機凝集剤を加えて凝集沈殿させるか、ろ過して固液分離します。
規制値内に処理された排水は、河川に放流し、分離した汚泥(スラッジ)は、有価物として再利用または、産業廃棄物として処理されます。
金属イオンをpH調整だけで沈殿形に変化させるには、水酸化ナトリウムを添加して水酸化物とするのが一般的です。
水酸化ナトリウムを加えるということは、廃水のpHはアルカリ側にシフトする訳ですが、ただ闇雲に加えればいいってものではありません。
金属イオンの種類によって水酸化物として沈殿するのに最適なpH範囲があるのです。

特にアルミ、亜鉛、クロムに関しては、アルカリ側にpH範囲を超えてしまうと再溶解といって、金属水酸化物が再び錯イオンを形成して、沈殿が溶解してしまうので注意が必要です。


お問い合わせ
Contact
お問い合わせフォームはこちら
お電話でのお問い合わせ
0274-62-2421
営業日カレンダー