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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.09.03

めっき不具合について

めっきは、素材や治工具、処理液、めっき条件など色々なことを管理して製造しています。
しかし、どんなに厳しく管理していてもめっき不具合(当社ではめっき不良という言葉をつかいません)が発生してしまうことがあり、工程や状況によってその内容が異なります。
今回は、どんな場合にどんなめっき不具合が起きるかを紹介します。
まず、素材や前処理不良が原因となる異常です。

素材表面に油・汚れ・変質層・酸化膜などが存在し、前処理で除去できない場合には、無めっきや剥がれが起こりやすくなります。
この時、めっきの析出を阻害する状態が残った場合には、無めっきとなります。

また、素地金属とめっき被膜の界面の金属結合を阻害する状態が残ってしまった場合には、剥がれとなります。

更に、素材表面に異物やスマットなどが残った場合には、めっきの欠陥や膨れになり、素材表面が荒れたまま、レベリング作用が弱い薄いめっきを行った場合には、十分な光沢が得られないこともあります。
また、過度な酸活性によってエッチングムラやスマットが残留した場合には、表面が荒れた状態になります。

ダイカストや鋳物では、素地表面にチル層と呼ばれる緻密な層の下に巣穴がある場合があります。
前処理の過度なバレル研磨やエッチングによってその巣穴が露出した場合、シミや腐食の原因となります。

次に、めっき工程が原因となる異常です。

めっき工程における不具合には、めっき中に付着したガスの泡の滞留や、有機物の付着によって発生するピットや

薄いめっきをした場合のピンホール

内部応力によるクラックがあります。

また、めっき液中に異物が浮遊していてそれがめっき被膜に取り込まれ共析した場合には、ブツや膨れの原因となります。
めっき液に混入する異物は、被めっき物に付着していた加工くずや研磨粉、素材の腐食生成物、めっき液に落下した部品の溶解残渣、陽極スライム、大気中の埃、周囲のサビ、作業者の髪の毛や衣類くずなどがありますが、通常、常時ろ過などでめっき液に浮遊しない対策を講じていてもろ過機で取り切れなかった場合には不具合の原因となります。

めっき層内で剥離が発生した場合には、バイポーラ現象やめっき液に混入した油や添加剤の分解生成物の影響が考えられます。
バイポーラとは、めっき浴中で何らかの理由で一部の被めっき物Ⓐへの通電が遮断されると、隣接する通電中の被めっき物Ⓑの影響を受けて、一部分が陽極化することで瞬時に不動態化してしまい、めっきが密着しなくなることを言います。

更に、めっきの析出状態が異なった場合には、くもりや光沢ムラが発生します。

また、めっき液の攪拌や流動が不均一になるとめっきの異常析出が起こる場合があります。

更に、電流が均一に流れず一点に集中した箇所には、コゲが発生します。

最後は、後処理や環境が原因となる不具合です。

後処理や環境による不具合には、シミがあります。
これは、最終水洗水のきれいさや乾燥条件に問題がある場合に発生します。
また、製品出荷後に発生した変色は、製品の洗浄が不足していたりして汚染物が残留していたり梱包材からの汚染、保管環境により発生します。

更に、めっき後にサビが発生することがあります。
無めっき、密着不良、キズ、割れなどのめっき皮膜の不具合に起因するもの、使用環境に起因するもの酸化などがあります。

電子部品のはんだ濡れ性に問題が発生した場合には、表面酸化が、素地割れが起こった際には、めっき後の加工やめっき時の水素脆性が疑われます。
更に、めっき被膜の硬度に問題が発生した場合には、結晶性や残留応力、熱処理後のふくれの場合は、下地金属などの拡散、金属間化合物(IMC)やボイドの発生が疑われます。

金や銀は、銅や銅合金に浸食、拡散する性質があります。
金はとてもお高いので、金めっきを厚く付けることは殆どなく、フラッシュという薄いめっきが多いのです。
なので、銅や銅合金に直に金めっきを付けた場合、金が素材の銅にどんどん浸食していって気が付いたら金が無くなっていたということが起こってしまいます。
これが、拡散です。
金属間化合物は、二つ以上の金属元素が化学的に結合して形成される化合物のことで、素材とめっき、下地めっきと上層めっきの界面に発生します。
また、ボイドは、熱処理などによって起きた拡散が原因で発生する空孔のことです。

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