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めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。

2025.07.30

銅について

銅は、空気中で酸化しやすいのですが、熱伝導性、電気伝導率がともに優れていて、柔軟性に富む金属です。
しかし、酸素を含んだ水にはとても弱く簡単に腐食して、亜酸化銅(Ⅰ)[Cu2O]に変化してしまいます。

なので、装飾めっきとして銅めっき上がりという仕様は殆どなく、ニッケルやニッケル・クロムめっきの下地めっきとして活用されています。
然しながら、工業用としての銅めっきは、電気伝導率の高さや均一電着性の特性を生かして、プリント配線板のスルホールめっきや電鋳などで活躍しています。
現在、実用化しているめっき浴はこのようなものがあります。

【硫酸銅浴】この浴は、最も古くから使用されてきためっきです。
めっき液の組成が硫酸銅と硫酸という、お安い原料が基本成分なので他
の銅めっきと比べてコストが安く済み、めっき液の管理も簡単なのです。
但し、硫酸浴なので、めっき液の腐食性が高いこと、素地金属が鉄鋼や亜鉛ダイカストの場合、銅が置換反応して析出してしまうので直接めっきができません。
また、シアン化銅に比べ、均一電着性が劣ることが欠点です。


ただ、これも添加剤の開発によりあまり問題視されなくなりました。
一方、メリットとしては、純度の高い銅皮膜が得られること、めっき液の管理が簡単なこと、排水処理が簡単なことです。
無光沢硫酸銅浴は、めっき皮膜が柔らかく、伸びが良いので電鋳や印刷ロール、プリント配線板用銅箔、浸炭防止など広く採用されています。

光沢硫酸銅浴は、光沢剤の作用で、鏡面光沢、高い平滑性、優れためっき被膜の物性などの特徴があり、防食、装飾用下地めっきとして活用されています。
ハイスロー硫酸銅浴は、均一電着性は劣るもののスルホールめっきに要求される特性を兼ね備えためっき浴です。

【ほうふっ化銅浴】ほうふっ化銅浴の長所は、高い電流密度でめっきが可能なので、めっき速度が速く厚付けができます。
また、電流効率が100%であることや、平滑なめっきが得られることです。
用途は、電鋳や印刷ロール、プリント配線板の銅箔などがあります。
短所は、腐食性が強く作業しにくい点と、めっき浴の価格が高いのでコスト高になることです。

【シアン化銅浴】シアン化銅浴の組成は、シアン化銅錯イオンと、過剰の遊離シアン化アルカリからなります。
シアン化銅浴の長所は、鉄鋼はもちろん、
ほとんどの素地金属に直接めっきが可能で、つきまわりが硫酸銅浴より良く、析出が緻密で、めっき速度が速いことです。

また、金属銅への酸化還元電位が低いので、鉄鋼や亜鉛ダイカスト、黄銅などにも置換析出が起きません。
更に、複雑な形状の部品の内面、素材のピンホールにもめっきが良くつきまわるため、他のめっきのストライクめっきとして活用されています。
シアン化銅でストライクめっきをした場合、密着性の高い銅で素材が覆われるため、上層めっきのつきまわりが良くなり、更に耐食性も向上します。
また、めっき浴中のシアン化アルカリは、素材の汚れを除去して表面の活性化作用があるので、前処理不足を補うことも出来ます。
短所は、有毒なシアンを含むので、取扱いと排水処理が難しいことや、めっき浴の管理がやや難しいことです。

シアン化ナトリウム浴のめっきの反応は、

と、なりますが、浴中では、殆どがシアン化銅錯イオン [ Cu(CN)32- ]になっていて、めっき浴中では更に解離して

銅イオン[ Cu+ ]として存在しているので、めっきが開始して電気が流れると、Cu+は陰極で電子1個を貰って(還元される)銅が析出します。

【ピロリン酸銅浴】ピロリン酸銅浴の長所は、つきまわりやレベリングに優れ、結晶が細かく光沢があり、有孔度が小さいことです。
加えて、めっき浴は弱アルカリ性で腐食性が小さく、毒性が少なく、電流効率が約100%であることです。
短所は、鉄鋼や亜鉛ダイカスト素地にはピロリン酸銅ストライクが必要になります。
また、シアン化銅浴や硫酸銅浴より高価で、析出速度がシアン化銅浴の半分であることです。

ピロリン酸銅[ Cu2P2O7 ]は、水に不溶性なので、めっき浴にする場合、ピロリン酸カリウムを加えて水溶性錯塩にします。


めっき浴中では、更に解離して、


Cu2+は、電子2個を貰って、析出します。

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