コラム
Column
めっき加工の現場から、技術や品質へのこだわり、業界の最新動向などをお届けします。
現場の声や知見を通じて、エルグのものづくりを深掘りするコラムです。
2025.10.01
熱処理ってなんでするんだろう?
日本金属熱処理工業会で「熱処理」は、「赤めて冷やす」と定義されていて、また、目的や用途によって色々あるようです。


鉄鋼材のような炭素を含む金属は、熱を加えたり、冷やしたりすることで組織が変化します。
その組織の変化は、金属の性質や耐摩耗性を向上させます。
代表的な熱処理方法には、「焼入れ」「焼戻し」「焼なまし」「焼ならし」があり、鉄鋼材の硬度を変化させることができます。
では、なぜ、熱処理で金属が硬くなるのかを炭素鋼を使って説明しましょう。

炭素鋼には、コラムの「鉄鋼の弱点とめっき」でもお話ししていますが、軟らかいフェライト(純鉄)とセメンタイト(炭素の化合物)と硬い鉄の混合物です。
「焼なましと焼ならし」は、まだらに混ざり合った炭素鋼を800℃位に加熱すると、炭素が均一に混ざりオーステナイトという金属組織に変化します。
これをゆっくりと冷ましていくと再び結晶化しますが、加熱によって組織が均一になっているため軟らかくなり、機械的性質が向上します。
また、「焼入れ」は、オーステナイト化した金属組織を、急に冷ますとマルテンサイトという金属組織に変化して、均一に炭素が分布した硬い金属になります。
但し、マルテンサイトは、脆いため金属組織を安定させるために再び過熱冷却をします。これを「焼戻し」といいます。


特殊熱処理は、一般熱処理後に更に機械的特性を向上させるために行われます。
主にオーステナイト系ステンレスに行われるのが固容化熱処理で、合金成分が固容する温度まで加熱した後、急速に冷却して、炭化物を固相内に再溶解して、粒界腐食などの局部腐食を防ぎます。
また、加工や溶接などで生じた内部応力を除去して、耐食性向上にも効果があります。
サブゼロ処理は、焼入れ鋼内に残留したオーステナイトをマルテンサイトに変化させる処理で、0℃以下に冷却する深冷処理です。
工具鋼では、硬度の向上に、精密機械部品では、金属組織が安定することで寸法・形状の経年劣化を防ぐ効果があります。
また、ステンレス鋼では、SUS631のR処理
(955±10℃10分保持 → -73±6℃8時間保持)や、高炭素クロムステンレス鋼のマルテン化処理があります。

析出硬化処理(時効効果処理)は、鋼材中の添加元素(Al、Nb、Ti、Moなど)を熱処理によって化合物を形成することで機械特性を向上させることができます。
表面硬化熱処理のうち、表面焼入れは、鋼材の表面温度を800℃以上に急激に加熱した後、油や水の中で急激に冷却することで、表面を硬化させる処理です。
その目的は、耐摩耗性の向上ですが、表面のみを焼入れするため、表面に圧縮応力が残留して疲労強度も向上します。
表面硬化熱処理のうち、表面焼入れは、鋼材の表面温度を800℃以上に急激に加熱した後、油や水の中で急激に冷却することで、表面を硬化させる処理です。
その目的は、耐摩耗性の向上ですが、表面のみを焼入れするため、表面に圧縮応力が残留して疲労強度も向上します。

また、浸炭焼入れは、炭素含有量約0.2%以下の機械構造用炭素鋼・合金鋼に対して行います。
鋼を炭素が多量に存在する環境下に一定時間保持することで、鋼の表面から炭素を内部に拡散浸透させた後に焼入れ、表面を硬化させるものです。
浸炭焼入れによって、約0.2%だった表面の炭素含有量は、0.8%程に増加します。
高炭素化の表面は、焼入れにより高炭素マルテンサイトとなり、高い耐摩耗性や耐疲労性に富み、逆に内部は靭性に優れた低炭素マルテンサイトとなります。
表面改質熱処理のうち、鋼の表面に硬質炭化物をコーティングして耐摩耗性や耐食性を向上させる技術で、CVD(化学的蒸着法/プラズマCVD・熱CVDなど)、PVD(物理的蒸着法/イオンプレーティング・スパッタリングなど)や、T-Dプロセス(ホウ砂を使用して1100℃で処理)があります。
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